December 01, 2008

MET ライブビューイング



先日、銀座の東劇でシネマ歌舞伎を観たのだが、そのときそこで「MET ライブビューイング」というのをやっているのを知った。

これはニューヨークにあるオペラハウス・メトロポリタン歌劇場(通称 MET)で行われるオペラを HD カメラで撮って日米欧の映画館で上映してしまおうという野心的なプロジェクトだ。
ゲキ×シネシネマ歌舞伎と同じくデジタル技術を使った新しい映画館の使い方と言えよう。
一般人は演劇や歌舞伎やオペラの実演をそうそう観られるものではない。特に地方に住んでいたら無理だ。それを近くの映画館で見方によっては実演を観るより観やすく体験できるわけだから、これは素晴らしい企画だと思う。

で、今回観たのは 2005 年に作られた「ドクター・アトミック」という、原爆の開発を指揮した科学者オッペンハイマーの葛藤、苦悩を描いた現代オペラだった。

一言で言って「さすがにニューヨークは凄い街だな」と圧倒された。



オペラというものは通常、専用に造られたオペラハウス、 100 名近くいるオーケストラ、本番になったら数百人を一人でコントロールする指揮者、本番になるまで指揮者と一緒に舞台をまとめる演出家、一人でリサイタルを開けるくらい実力のある歌手が何人も、合唱兼エキストラが多数、何幕か分の斬新な舞台装置、のべ何百人分にもなる衣装、そしてそれらを支える膨大な数の裏方の人が必要になる。しかもそれぞれが一流でないと一流の上演は出来ない。
また、大体 3 時間位かかる演目を完璧に行うためには、時間をかけた入念な準備も必要だ。
要するに膨大な数のプロフェッショナルとお金と時間が必要なのだ。

それを支えるのが高価なチケットを入手してくる観客と後援する企業や自治体だ。
いくら良いモノを作っても、そのモノに価値を認め、喜ぶ客や組織がいなければ成り立たないのだ。

つまりオペラというのはその街の芸術的実力がはっきり出るものだと言えると思う。

あくまで推測の話になるが、東京の芸術的実力はかなりのものだと思う。
それは例えば、世界中から色々なオーケストラや絵がやってくることから推測できる。
東京ほどいろいろなモノが鑑賞できる都市はニューヨーク、パリ、ロンドン位だという話も聴いたことがある。

でもね、この「ドクター・アトミック」を観るとニューヨークには敵わないなと思うのだ。

東京にこれだけの舞台をつくる才能が集まり、これだけの規模で(動画で舞台の壮大さをみてほしい)、ヴェルディやプッチーニやワーグナーやモーツァルトなどの有名なオペラならともかく、硬派な現代作品をやれるか?(客が埋まるか?)というと、ちょっと難しいんじゃないかと思う。
それくらいレベルの違いを感じた。

ということで、これから月 2 回のペースで上映される「 MET ライブビューイング」の 5 回通し券( 15000 円。実演のオペラを観に行くとなると 3 階席を 1 回買うくらいの価格だ。)を買ってしばらく通おうと思う。

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大須賀敏光   おおすが としみつ

1968 年生まれ 東京都江戸川区在住
会社員(組織づくり・経営企画)
放送大学 学生(認知科学)
トライアスリート
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