June 03, 2009

1Q84

1Q84 (Book 1,2)村上春樹 著

(肉体的にも精神的にも)歳を取ったせいか、近年、小説を読み始めるとすぐ睡魔が襲ってくる。
たいてい読み始めて 1 時間もしないうちにまぶたが重たくなる。

ところがこの小説( 2 冊 1000 ページ超)は、夜の 9 時頃から読み始め、午前 4 時近くに「そろそろ寝ないと明日にさわる」と本を置くまで一気に読み続けるのを 1 日おきに 3 日続けられるほど集中して読ませてくれた。

もともと村上春樹の小説はほぼ全て(少なくとも中長編小説は全て)読んでいるファンだということを差し置いても、自分でも驚くくらいスラスラと読み進められた。(それだけをとっても良くできた小説だと思う)

この小説の印象を一言で表すと「村上春樹の集大成」となる。

読んでいて、「羊をめぐる冒険」(耳フェチ、異界との繋がり)「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(二つの物語が交互に展開しながら絡み合う構造)「ノルウェイの森」(死の臭いのする恋愛)「ダンス・ダンス・ダンス」(イノセントな少女、危険なセックス)「ねじまき鳥クロニクル」(牛河氏)「海辺のカフカ」(父親、暴力)、そしてオウム真理教事件を扱った「アンダーグラウンド」「約束された場所で」と、村上春樹の主要な作品のことが次々と思い出された。
マンネリズムとも言えるだろう。(私は「アフターダーク」の新しい空気が好きだったのだが、今回また昔の村上作品の空気に戻っていて少しだけがっかりした)

しかし、本作はこれまでの作品とはテーマが異なっている。
誤解を恐れずに言えば「テーマ」の村上春樹的個性は薄くなっているように思う。
本作は、文学の王道というか、これまで古今東西で語り尽くされてきたテーマに挑戦している作品ではないかと思う。

そしてだからこそ、村上春樹の物語作家としての超人的な語り口の巧みさに唖然とさせられる。
激しく面白い。

個人的にはこの 2 冊で物語が終わっても良いと思う。(この余韻は好きだ)
でもたぶん「ねじまき鳥"」のようにこの物語には続きがあるんだろう。
本作に繰り返し出てくる
物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない(チェーホフ)
という言葉のとおりならば。




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大須賀敏光   おおすが としみつ

1968 年生まれ 東京都江戸川区在住
会社員(組織づくり・経営企画)
放送大学 学生(認知科学)
トライアスリート
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