February 26, 2010
スパイのためのハンドブック
冒頭にスパイの適性をチェックするテストがある。これで最高点をとると「やりすぎだ」という観点から、あまりこの業界では成功しないという評価が下される。もモサド(イスラエル諜報特務庁)の伝説的スパイであるウォルフガング・ロッツが書いたインテリジェンスに関する実用性の高い入門書スパイのためのハンドブック ウォルフガング・ロッツ 著 朝河伸英 訳
ぼくらの頭脳の鍛え方 佐藤優 選・書斎の本棚からの百冊より
スパイに特別興味があるわけではないが、上の推薦文の「インテリジェンスに関する実用性の高い入門書」というところに惹かれて読んでみたところ、最後まで一気に読んでしまえる面白い本ではあったが、肝心の実用性は(少なくとも私にとっては)皆無な本だった。
(これは、私の期待していた「実用性」が、一般人にも役立つような知的生産術的な実用性だったのに対し、本のほうは、本当にスパイを目指す人やスパイに追われる人の「実用性」を考えていたという、「実用性」の意味の取り違えによるものだった)
ちなみに、適性テストの結果は 5 段階評価の真ん中で
あなたは普通並みで、ほとんどの人がそうである。あなたは慣習のために相当身動きがとれなくなっている。情報部勤務ではこれがかならずしも克服不可能ではないが、障害になることがよくある。われわれのような職業でも、あなたの使い道はある。身を入れて勤めれば、やがてはまずまずの情報部員にはなれよう。という評価だ。まぁ、そんなところなんだろう。
どちらにしても、実名でブログを書いているような人間はスパイにはなれないと思う。
面白い話はいろいろあった。
まず、スパイになりたい人が採用面接にこぎ着けるにはどうすれば良いかという話だ。
当然の話だが、諜報機関がそこらの求人サイトに募集広告を出すことはない。
そこでどうするか?
ここが既にスパイの適性検査になっているわけだ。
次に、採用面接にこぎ着けたとして、どういう人物が採用されるのか?
面白かったのはこの一節だ。
それに関係した恐ろしい話がある。
すなわち、現場には作戦の全体観や意図は伝えられず、仮に工作員が捕まって全部ゲロっても壊滅的なダメージにはならないようにするということだ。
そこで「理想主義者は勘弁」という話の意味も分かってくる。
不十分な情報をもとに勝手に動かれたら困るわけだ。
こう考えていくと、組織のいち歯車である職人という実際のスパイの姿が見えてくる。
しかも、彼らの職業寿命はおおよそ 3 年で、そのうえ満足な健康状態で引退できる人は相当運の良い人なのだそうだ。
割に合わない仕事だと思うな。ホントに。
最後にもう一つ。最も印象に残ったのがこの一節だ。
まず、スパイになりたい人が採用面接にこぎ着けるにはどうすれば良いかという話だ。
当然の話だが、諜報機関がそこらの求人サイトに募集広告を出すことはない。
そこでどうするか?
ここが既にスパイの適性検査になっているわけだ。
次に、採用面接にこぎ着けたとして、どういう人物が採用されるのか?
面白かったのはこの一節だ。
私の上司である将軍は私にいったものである。「ラスティ、きみが誰をつれてこようと私はかまわん。われわれの役に立つ職業についているものなら、銀行家だろうとポンビキだろうと、公爵夫人だろうと売春婦だろうとかまわない。しかし、たのむから理想主義者には近づかんでくれ!時間をむだづかいして、つまらぬことに首を賭けることはやめたまえ」なぜ理想主義者はだめなのだろう?
それに関係した恐ろしい話がある。
誤解のないようにしよう。囚われの身になったスパイが沈黙を守り通し、尋問者に(嘘八百以外は)何も話さなかったという話は、尋問の係官がいい加減な仕事をしないかぎり、まったく虚構の世界に属する出来事である。給料分の働きをしている尋問者なら、あなたに知っていることのすべてをいわせるだろう。これは、はしかや所得税のように避けては通れない現実であり、秘密情報部が部員に、逮捕されたら沈黙を守れと勧告するのをあきらめてからすでに久しい。何されんだか、と怖くなるが、ここから考えられるのは、末端の工作員(行動するスパイ)には作業に必要な最低限の情報しか与えられないだろうということだ。
すなわち、現場には作戦の全体観や意図は伝えられず、仮に工作員が捕まって全部ゲロっても壊滅的なダメージにはならないようにするということだ。
そこで「理想主義者は勘弁」という話の意味も分かってくる。
不十分な情報をもとに勝手に動かれたら困るわけだ。
こう考えていくと、組織のいち歯車である職人という実際のスパイの姿が見えてくる。
しかも、彼らの職業寿命はおおよそ 3 年で、そのうえ満足な健康状態で引退できる人は相当運の良い人なのだそうだ。
割に合わない仕事だと思うな。ホントに。
最後にもう一つ。最も印象に残ったのがこの一節だ。
ほんの少しでも強制できる見込みがあるものなら、秘密情報部員にとって、禁欲生活が重要この上ない規則となろう。しかし、そういう見込みはまったくない。頭のしっかりした情報部長なら、部下たちのたまの色事をねたんだりしないだろう。本部の親スパイたちが心配するのは、行きずりの情事ではなく、もっと恒常的な性格の愛情なのである。この種のかかわり合いで、たぶんスパイたちはたいていの誰よりも傷つきやすい。
"正業"についている人々より、彼らはずっと、親友とか連れ合いといった気をゆるせる人を必要とする。こういう人と一緒にいるときは、一度に何時間も自分自身にかえることができ、勤務中の絶え間ない緊張と偽りを償うのである。セックスなどは取るに足らぬ理由なのである。